2017/06/06

Abraham Cruzvillegas



映画の後は Maison Hermès8Fにあるギャラリーで、アブラハム・クルズヴィエイガス展 水の三部作2を観ます。
天井近くまであるコラージュは、切り取られた水のような空のようなブルーが
山のように貼られています。



毎月見ているので、作品に絡む朝顔の蔓はどんどん上へと伸び花を咲かせ、
木や紙を積み上げたオブジェは少しずつ崩れ落ち 床に散らばり 、
最初にいたウーパールーパー?はいなくなっていました。
時間の流れとともに壊れゆくのもまた作品として見せることは楽しいことです。
アートは自由。

2017/06/04

LE SENS DE L'OBJET

Jan Svankmajer "Alice's Adventures in Wonderland"

「オブジェに宿るもの」というテーマでセレクトされた映画を観ています。
毎回ちょっと変わった興味深い映画ばかりで、40席のプライベートシネマでもあり集中して見ることができます。

HERMESパンフレットより
一作目は、ヤン シュバンクマイエルの「Alice」です。
ルイス キャロルの不思議の国のアリスが原作ですが、見事にヤンのシュールな世界で、鼻のないウサギの剥製や目玉、バターが塗られた時計...。
夢に出てきそうで怖いくらいですが、子供の世界を思い出しました。
子供の時は現実と幻想は混じり合い、想像力による恐怖や目には見えない世界はいつも隣にあり、今思うとなかなか大変な世界でした。
『そんなものはない!』と言い切ってしまえる大人は安心な世界に住んでいますが、本当はどうなんだろう...。
私の中には幼心も残っているので、シュールな世界も案外現実に思えることもあります。
ヤンもそうなのだと思います。

HERMESパンフレットより
次は、ジュゼッペ トルナトーレの「The Best Offer 鑑定士と顔のない依頼人」
最初から完全に世界に引き込まれて、息を詰めて見ていました。
謎があちこちに散りばめられ、最後にその糸が一つに合わされてゆくのは圧巻です。
沢木耕太郎氏が2度目に見ると作品の印象が変わると書いておられましたが、是非もう一回観たい映画です。
今は謎は謎のままコロコロと頭の中を漂わせています。

HERMESパンフレットより

そして、エルマンノ オルミの「Cento Chiodi  ポー川のひかり」
原題は100本の釘という意味です。
大学の図書館の床や机に、100冊の貴重な宗教書が釘で打ち付けられている場面から始まります。
キリストを磔刑した釘と寸分違わない鉄のプリミティブな釘です。
主人公は、神は偉大な宗教書の中ではなく、人や自然との交流の中にあると悟ってゆきます。
本を磔刑にした罪で、自宅軟禁というそこから動けぬ磔刑とも言える裁きを受けますが、川沿いを歩く主人公は笑っていたと見かけた子供が話します。
そして帰りを待ちわびる村人たちの前には姿を現さずに、消えてしまいます。
冒頭インド系の女性の、宗教の中での重要な女性の役割についての話があり、
それはパン屋の村娘につながり、ラストに娘が流す涙はピエタのマリアを思い起こさせます。
心を通わせる村人の中の一人(おそらく知的障害が少しある、絵を描くのが好きな男性)が、『川はとても遠くまでゆける。』と言っていたことを私は考え続けています。
主人公の魂は真理に触れ、ポー川のように自由になったのだと。
真理と自然は同義語で強く美しいものだから。